この記事では、Rick Owens のレザージャケット “Cropped Jumbo Bauhaus Stooges” と、 レザーパンツ “Bolan Banana” を セットアップで実際に着用しながらレビューします。
どちらも LTP素材のカーフレザー を使用したモデルで、 実物を手にしたときに分かる独特の質感やムラ感、着用時に生まれるドレープの深さなど、 写真や説明文だけでは伝わりきらないポイントを中心にまとめました。
今回は購入後に撮影・検証し、素材の表情・ディテール・サイズ感 を
等身大で記録しています。
Rick Owens のレザーの素材感やディティールが気になっている方の参考になれば幸いです。
年間100万円分rickowensを購入した筆者が解説します!

今回は「かっこいい/かっこよくない」という主観だけでなく、 素材の特徴・ディテール・シルエットの出方・他素材との比較 まで、 実物がないと分からない部分にフォーカスしています。
それではいってみましょう!
このレビューについて(購入目的と前提)
今回の2点は海外通販サイト SSENSE で購入しました。
当ブログでは、実物を使った詳細レビューを行うために、必要に応じて 手元で質感・サイズ感・ディテールを検証できるアイテムを購入しています。
特に LTPカーフのレザーの質感や、Bolan Banana 特有のドレープ、
裾ジップを開いたときのシルエットの変化などは、
商品ページの写真だけでは判断が難しいポイントです。
そのため、今回はレビュー精度を高める目的で実際に購入し、
素材の触感・細部のディテール撮影・着用時のシルエット を
ひとつずつ確認しながら、この記事を作成しています。
セットアップの外観とディテール
Cropped Jumbo Bauhaus Stooges ジャケット

ベースはダブルライダースですが、胸のBauhausポケットや袖ジップ、フロント下のストラップなど、 Rickらしいギミックが詰め込まれた一着です。
肩はややワイド、着丈はかなり短めのクロップドバランスで、 ボリュームのあるボトムと合わせたときにシルエットが完成するようなパターンになっています。


いわゆる王道ライダースというよりは、 身体の拡張をするためのにかなりオーバーサイズに作ってあり、存在感があります。 普通のデニムやチノに合わせるとジャケットだけが浮きやすいので、 ワイドパンツなど、下半身にボリュームを持たせるのが着こなしのコツ。
Bolan Banana レザーパンツ

ジャケットと同素材(LTP)のBolan Banana レザーパンツ。脚のラインに沿ってゆるくカーブしながら裾にボリュームが溜まるパターン。

Bolan Banana は Rickのボトムスの中でも定番化しているモデルで、
デニム・レザーなどさまざまな素材でリリースされてきました。

シルエットはゆるくカーブしながら裾にむかって一気にボリュームが出るパターンで、 両脚に入ったフルレングスのジップを開くことで ストレート〜フレアまでシルエットを調整できるのが特徴です。
LTPカーフレザーの素材感と特徴

今回のセットアップに使われているのは LTP素材のカーフレザー。 カーフにユーズド加工を加えたような質感で、
ところどころに入る色ムラや、細かなシワがかなり雰囲気のある表情を作ってくれます。
手に取ったときの印象としては、 「ラム並みに柔らかいけれど、芯はしっかりカーフ」 という感じ。
レザーとしての厚みは一定以上あるのに、袖を通すと体に沿ってスッと落ちてくれます。
ドレープが出るレザーは昔から Rick が得意としてきた領域ですが、 LTPカーフはまさにその代表格。 動いたときの縦方向のシワの入り方や、裾に溜まるレザーのドレープなど、 「静止画で見るより、実際に着たり歩いたりする方が良さがわかる素材」 だと思います。
セットアップで着たときのシルエット



実際にセットアップで着てみると、最初に目に入るのはやはり シューズからボトムスのレザーを使ったドレープ です。
まずシューズで高さをだし、Bolan Bananaのレザーのドレープを生かした床まで落ちるフレアシルエット、バランスをとるようにジャケットも身幅がかなり大きめですが、少し短丈にすることでバランスが取れています。
rick本人も、シューズとボトムス中心の着こなしが多く、アウターでバランスとをとるようなコーディネートが多い印象です。
また、ここまでの重厚なレザーのセットアップなら鎧のような着心地になってしまいがちですが、このLTP素材のセットアップは見た目の迫力のわりに、着心地はそこまでストレスはありません。 LTP素材は柔らかいので、ジャケットは腕の可動域も十分。 パンツは重量こそありますが、膝の曲げ伸ばしで突っ張る感じも少なく、 「重さはあるけれど動きづらくはない」という印象でした。
LCW素材のRickライダースと比較してみた

筆者が所有している LCW素材のRick Owensライダース と並べてみます。同じカーフレザーでも質感がかなり違います。
LCW素材はRickのライダースで長年使われてきた定番素材で、 肉厚でハリが強く、いかにもレザージャケットらしい手応えがあるのが特徴のカーフレザーです。
いわゆる「最初は固くて、着込むほどに体に馴染んでくる」タイプのレザーです。

一方でLTP素材のカーフは、同じカーフでも 柔らかく落ち感があるタイプ。 着用初日からストレスなく袖が通せます。
シルエットも、LCWが「立つレザー」だとすると、LTPは完全に「落ちるレザー」。 同じRickのライダースでも、素材を変えるだけで印象がここまで変わるのは面白いところです。
Bolan Banana:LTPレザーとBWデニムとの裾ディテール比較
筆者はBolan Banana はレザーだけでなく、BW素材(コーティングされたやや厚めデニム) のモデルも所有しています。
写真を見ても分かる通り、同じBolan Bananaでも 素材によって裾の開き方がまったく違う のがポイントです。


BWデニムのBolanは、裾ジップを開いても開きは控えめで、 シューズの先端が見える程度のフレアにとどまります。 細身のブーツやハイカットスニーカーと相性が良く、 全体としてシャープな印象です。
一方、レザーBolanは裾が大きく広がり、 シューズを丸ごと飲み込むようなシルエット になります。 レザーの重さと柔らかさが合わさることで、 歩くだけでレザーが波打つように動き、かなり迫力のある見た目です。
実際に履き比べてみると、 「レザーBolanは太めのソールやボリュームのあるシューズ向き、 BWデニムBolanは細身ブーツ向き」という住み分けになっています。
同じモデル名でも用途まで変えてくるあたりがRickらしいこだわり だと感じました。
タグで見る素材の違い



タグを見てみると、レザーライダースは RU16F6764-LCW、 BWデニムのBolan Bananaは RR01D0339-BW といった具合に、 型番とあわせて素材コード(LCW / BW)が明記されています。
LCWは定番のカーフレザー、BWはコーティングデニムといったように、 Rickでは素材コード単位でモデルを管理している ことが分かります。
Rick Owens の型番の見方(ライン名・シーズン・素材コード)
Rick Owens の品番は、基本的に
[ライン名2文字]+[シーズン3桁]+[モデル番号4桁]+[素材コード]
という構成になっています。
下の表では、ライン名・シーズン・素材コードをできるだけシンプルにまとめました。
※同じコードでもシーズンによって質感が変わる場合があります。
ここでは「タグにこう書いてあれば、このあたりの素材感」という目安にまとめています。
こうして見ると、Rick Owens は素材ごとにパターンや裾仕様まで細かく調整しており、
同じ型番でも、素材コードが違えばまったく別物 と言えるほど仕上がりが変わります。
古着で探すときは、特に年代コードと素材コードを覚えておくと失敗しにくくおすすめです。
まとめ:LTPレザーセットアップは「ドレープで魅せる」Rickらしいプロダクト
LTP素材のカーフのジャケットとBolan Bananaをセットアップで着てみて感じたのは、 「レザーそのものより、ドレープとシルエットで魅せるプロダクト」 だということでした。
また、LCW素材のライダースやBW素材のBolanbananaと比較することで、 同じブランド・同じモデル名でも、 素材や裾ディテールによって印象や用途が大きく変わることが分かります。
こうした細かな違いは、実物を手元に置いて着用してみないと見えてこない部分です。
今後も着用を重ねて、レザーのエイジングや履きジワの変化など、実物ならではの情報をなんらかの形で発信していけたらと思っています。
Rick Owens のプロダクトを検討している方の参考になればうれしいです。